私が顎変形症を治療する理由

歯列矯正だけではなく、手術をしなければならないと言うと、「なんでそこまでしてやるの?」とか、「そのままではダメなの?」とか言われる。

結論からいうと、ダメだからやっているわけで。

でも、なかなか理解されない。そもそも、手術が必要な矯正があることが知られていない。だから、「そこまでして美を求めたい野郎」だと思われているようだ。

まあ、よし。

そういう君の歯並びは美しくて、不正咬合なんて四字熟語とは無縁なのだから。

 

私は、治療を決断するまで悩んだ。一番悩んだのは、顔が変わる可能性があると説明を受けた時だ。私の場合、下顎後退に加えて下顎が時計回りに回転しているため開咬があり、下顎の骨切り・移動量は1cmを越えると予想されている。上顎の位置や傾斜は正常の範囲なのだが、下顎の移動量が大きく、後戻りしやすいことを考えると、上顎も切った方が良いのではないかというのだ。

もし、上顎を切るとなると、鼻の変形は避けられない。別に、今の顔がひどく気に入っているわけでもないが、意図しない方へ顔が変わると言われると、なぜか涙が出そうになって、こらえるのに必死だった。

顔の変化だけでなく、オペの内容や、オペ後の生活のことも考えると、そこまでする必要があるか?と自分でも問うた。矯正治療をやらなくても、死ぬことはない。

でも、今まで口の周りで起きていたトラブル(虫歯、ものが噛めない、詰め物が取れる)や、顎関節症や、いびきや、見た目のコンプレックスや、偏頭痛や肩こりが、この顎変形症のせいかもしれないとようやく分かって、それらを改善したいという思い、そして今後歯を失うリスクを、今からでも減らせるのならば手を尽くしたいという気持ちが、治療に対する不安に勝ったから、今に至るのである。

 

治療中はいちいち、(まじでやんなきゃ良かったー)と思うことの繰り返しだ。食事の楽しみは3割減くらいになったし、お手入れもめんどくさいし。でも、矯正を始めると、食べること、生きることに、今まで見えていなかった奥行があったことに気が付く。私は何より食べることが大好きで、めちゃくちゃに食いしん坊だから、おばあちゃんになっても、美味しいものをむしゃむしゃ食べて、「あ~美味かった~」と言って寝たいと思う気持ちが、やんなきゃ良かったー念をすぐに打ち消す。

あ、なぜそこまでして治療するかって、食いしん坊だからってことかな。

食いしん坊万歳。