顎矯正手術におけるリスク




手術後に起こりうる症状や後遺症のリスクは、術式や症例によって異なりますが、ここでは主なリスクをまとめます。手術を受ける口腔外科で必ず事前に説明がありますので、本人や身内が十分に理解したうえで治療を進めていきます。

 

神経障害について

  • 下顎手術の場合、下唇、オトガイ部、下歯肉、頬粘膜に感覚の麻痺や異常が生じます。症状に差はありますが、必ず起こります。
  • 下顎枝矢状分割術の場合、まれに舌に感覚の麻痺や異常が生じます。また、非常にまれですが、顔面神経麻痺の発症が報告されています。万が一の場合は、専門医のもとで治療します。
  • 上顎手術の場合、上唇、頬、鼻、上顎歯肉に感覚の麻痺や異常が生じます。

感覚の麻痺や異常は、通常半年から2年以上で改善します。ほとんどは徐々に回復し、弱い症状が残っても日常生活には支障ありません。ただし、100%回復するとはいえません。

顔貌の変化について

  • 上顎の手術の場合は、鼻の形が変化します。最小限におさえて手術が行われますが、骨が移動するのでそれに伴う変化は避けられません。
  • 下顎前突症などで、顎を後方へ移動した場合には、皮膚のたるみが生じる場合があります。移動量が大きいほどたるみは大きくなり、美容的な改善処置が必要な場合もあります。また、下が後方に押し込まれ、気道が狭くなることにより、睡眠時無呼吸症になる危険性が高くなる場合があります。

発音の変化について

  • 術前の発音・構音などの言語機能に変化が生じる場合があります。術後の言語治療や外科治療(舌縮小術など)が必要となることがあります。

 

後戻りについて

  • 移動した骨には、筋肉などの軟組織が付着しているため、骨を元の位置に戻そうとする力が働きます。これによって、しばし後戻りが生じます。症例により後戻りの量は異なり、術後矯正治療によって対処しますが、対処しきれない場合があります。特に、下顎後退症で、移動量が大きい場合は予後が不良で、後戻りを起こしやすいといわれています。

その他

  • まれに術後に細菌感染を起こす場合があります。感染が生じた場合には、創の洗浄や固定したプレートを除去する処置が必要となる場合があります。
  • 手術後は咽頭部の腫れなどにより、気道が狭くなり呼吸困難となる場合があります。術後の出血等が原因で気道閉塞を起こし、死亡または植物状態になった例が報告されています。こうした事態を回避するため、緊急に気管切開などの処置を行う場合があります。
  • 骨切り部が歯の生えている部分と近い場合には、術後に歯髄壊死、歯根膜炎、歯根吸収などの症状が生じる可能性があります。このような場合には、根管治療、抜歯等の処置が必要になります。

 

※手術後に起こりうる症状や後遺症は、術式や症例によって異なります。

 

実際に私が手術を行った後に感じたことをまとめていますのでこちらもどうぞ

顎変形症手術・10のリスク【前編】

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